ワーキングマザーは夢をみる

働きたい、育てたい、すきなことをしつづけたい。

パーカーのジッパーを閉めないで!イヤイヤ期の娘が泣き叫んだ理由

風邪から中耳炎になってしまった、2歳の娘。この週末も通院です。

朝の準備で手間取り受付開始時間と同時に行けなかったのが悪かった。この時期の、しかも土曜の耳鼻科は大混雑です。子供はもちろん、花粉症に苦しむ大人も押し寄せ大賑わい。

診察まで2時間、会計まで30分、薬局で15分、合計2時間45分も待たされたうえに、診察台に押さえつけられ耳や鼻をいじられ、空腹と眠気も重なって、娘の機嫌は最悪に。

急いで帰宅し、大好きなアンパンマンのアニメを見てもらっている間にお昼ごはんの支度。カメさんメロンパンと好物のみかんを食べて少し持ち直したかと思いきや、「みかんもういっこ!」からグズグズうが始まってしまいました。


「みかんもういっこ!」「あんぱんまんもういっかい!」

みかんは1個だけだよ。また晩ごはんのあとにね。と言うと、
「やーだー!もいっこ!みかんもういっこでしゅー!!」
と大泣きする娘。さらにその勢いで、
「あんぱんまんみる!あんぱんまん!ぴっぴ!!」
とも。ぴっぴというのはテレビのことです。アンパンマンのビデオを見せろと要求しています。
でもついさっき見たばかりだし、朝も夫が見せていたので、これも、また夕方に見ようね、他の遊びしようよ、お絵かきしようか?と受け流そうとしてみましたが、
「やだー!おしまい!!おわりでしゅ!!ぴっぴみましゅ!!!」
わたしが持っていたお絵かきセットを掴んで投げ捨て、暴れます。

ひさしぶりのイヤイヤです。


眠いだけだとわかるからこそ、応えたくない…

たぶん、「みかんを食べること」や「アンパンマンを見ること」にそれほどこだわっているわけではなく、単に疲れと眠さでぐずぐずしているだけで、本人も自分で自分を持て余しているのだと思います。
それがわかるからこそ、病院で半日がんばったのでかわいそうだとは思いつつも、みかん2個目をあげるのも、さっき見せたばかりのアンパンマンをまた見せるのも、したくない…。
抱っこさえしてしまえばすぐ寝てくれそうですが、「ぎゅーしよう?」と言って手を差し伸べても「やだー!!」と暴れられてしまいます。

こういう時、しばらくいろいろと対応してみて、それでも娘のグズグズが治まらないときは、ちょっと距離を置くことにしています。それが正しいのかはわかりませんが、これまでの経験から、ずっと真正面から向き合っているとわたしが追い詰められて怒ってしまったりして、あまりいいことにはなっていないからです。
時々声をかけたり、なでたり、遊びに誘ったりしつつも、家事など他のことをし始めてしまいます。

その流れで何気なく、ソファの上に置いてあった部屋着のもこもこパーカーを着て、ジッパーを閉めました。
するとそれまで「みかんたべたい」「あんぱんまんみたい」と騒いでいた娘が、「ちーしないで!!」と叫びました。


ジッパーを閉めるとなぜ怒るんだろう?

「ちーする」はジッパーを閉めることです。
みかんやあんぱんまんのことでイヤイヤしていた娘が、急に、わたしに「パーカーのジッパーを閉めないで」と要求してきました。
なんでだろうと思いながらも、「わかったよーごめんねー」とジッパーを開けましたが、それだとやっぱり寒いし落ち着かなくて、また閉めてしまいました。
するとそれに気づいた娘がまた「ちーしないでえぇぇぇ!」と怒りながらかけ寄ってきて、わたしのパーカーのジッパーを乱暴に開けます。

なんでそこにこだわるんだろう???


「ちーしないで」の意味

そんなやりとりをしているうちに、とうとう娘は泣き疲れ、床にうつ伏せでゴロゴロし始めました。わたしは近くに正座して娘の背中をなでていました。
娘がわたしのほうを向き、そしてわたしがまた無意識に閉めていたパーカーのジッパーを見て、

「ちーしないで!!!!」

大声をあげ、がばっと起きました。
そしてわたしが「ごめんごめん」とジッパーを開けるやいなや、正座したわたしの上にコアラのように抱きついてきました。
わたしの胸にほっぺたをこすりつけるようにしてスンスンいっている娘を見下ろして、ここではじめて、娘が「ちーしないで」と言っていた理由がわかったのです。

抱っこされるときにジッパーが顔にあたるのが嫌だったんですね。

抱っこしてほしかったけど、自分からは言い出せないし、わたしが誘ってもなかなか応じられなかったけど、それでもやっぱり抱っこしてほしくて、タイミングを計っていたんですね。

本当はすぐにでも抱っこしてもらいたくて、そのために、「ちーしないで」いてほしかったようです。


子供にもいろんな事情がある

娘の甘えたい気持ちと素直になれないプライドのせめぎ合いのようなものを感じ、その複雑な心の動きに、成長したなぁ…、と思います。

そういえばわたしも子供のとき、「どうして大人はわかってくれないんだろう」とか「子供だっていろいろ考えてるのに」とか思っていました。
そういう思いや感情をうまく表現できないことを悔しく感じていました。

子供には子供なりの理屈や、プライドや、いろんな事情があるということを、わたしも知っていたはずなのに、それを子育てに活かそうと思っていたはずなのに、つい日常に追われて忘れがちになってしまいます。

娘だってなにもわたしを困らせるのが目的なわけではなく、彼女なりの理由があるのです。それをすべて理解することはできないし、理解できても応えられないことも多いけれど、

「子供にも子供なりの理由がある」

このことだけは忘れずにいようと、改めて思うできごとでした。

またちょっと、娘のことが理解できたような気がします。