ワーキングマザーは夢をみる

働きたい、育てたい、すきなことをしつづけたい。

母は28歳でいちじくを知り、娘は2歳でいちじくを知る。

いちじくの夏果が旬です。
わたしも娘も夫もいちじくが大好き!特に「バナーネ」という大きくて強い甘みが特徴の品種がお気に入りで、近所のJA直売所で見かけると必ず購入します。
切り口は深紅、口に含むとジャムのように濃厚で、とろけるようで…目を閉じてじっくり味わいたい、夏のお楽しみです。
時間があればコンポートにしたり、お酢に漬け込んでいちじく酢にするのも好きです。いちじく酢は豆乳で割るのがおすすめ。

娘はたぶん今年の夏に初めていちじくを食べたのだと思うのですが、とても気に入ったようで、すぐに「いちじく」という言葉を覚えました。

ごはんやおかずを食べ終えると、「まま、つぎはなーに?」とデザートを要求(毎回デザートがあるわけではないのですが…)。「今日のデザートはいちじくだよ」と答えると、「やったー!はなちゃん、いちじくだーいしゅき!」とばんざいポーズ。そして、食べ始めると、「めっちゃおいしい、めっちゃおいしい」と繰り返しながら、あっという間にぺろりです。このとき、わたしと夫は娘より早く食べ終わっていないと、「まだあるよー?ままのあげる(=ママのをちょうだい)!」と横取りされてしまいます。拒否すると当然ギャン泣き!


家族で旬の果物を楽しめるっていいなぁと思いますが、なんだか不思議な感じもします。わたしは生のいちじくを初めて食べたのが結婚して今の土地に越してきた28歳のときだったからです。
それまで乾燥いちじく(ドライフィグ)は食べたことがありましたが、生のいちじくなんて見たこともなかったと思います。
わたしの出身地である北海道では一般的にいちじくは採れず、他県で栽培されたものもお店に並ぶことはほとんどありません。たまに贈答用でみかけた気もしますが、ものすごく高級で、そもそも「いちじくは美味である」ことを知っている人すら少なく、日常生活で食べる機会はありませんでした。
それなのに、たまたま産地に越してきていちじくが大好物になり、そこで産まれた娘の大好物にもなっていることが、不思議で、とてもおもしろいと思います。

こういうときに、自分と娘はたしかに別の人間で、まったく別の生を送るんだなということを考えます。
娘が生まれて2年半、まだ自分と娘の境界をあいまいに感じることがあって、これはいつか折り合いをつけないといけないぞ、しかしいつかとはいつなんだ、などとけして遠くはない将来の課題を感じる日々の途中、ときどき、自分と娘のちがいを突き付けられるようなことに出会います。

母であるわたしが初めていちじくを食べたのは、28歳のとき。娘が初めていちじくを食べたのは、2歳のとき。
小さなちがいの積み重ねは、寂しくもあるけれど、おもしろい、わくわくすることです。
こんなにおいしいものをこんなに小さなうちから知ることができて、うれしいね。夏も後半、まだまだたくさんいちじくを食べますよ。