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「専業主婦優遇」や「働く意欲」で配偶者控除を語らないでほしい

配偶者控除は専業主婦優遇であるとか、女性の働く意欲を削いでいるとか、本当なのでしょうか?

配偶者控除は、専業主婦やパートなどで働く妻の年収が103万円以下であれば、夫の課税所得から38万円差し引けるというものです。
創設されたのは1961年(財務省Webサイトより)、半世紀以上も前のことですから、制度が現代社会にそぐわないものになってくるのはしかたないでしょう。しかもその財源は約6000億円という額。これは早急に見直しが必要だね、という話で納得できるものを、なぜ「専業主婦優遇」「働く意欲を削ぐ」といった当事者の心がざらつく言葉を使うのでしょうか。


「専業主婦優遇」について

優遇、つまり手厚いもてなし、優先的に扱うこと。専業主婦(この件の便宜上、パートなどで年収103万円以下の方含む)ではない兼業主婦(同じく便宜上、主にフルタイム勤務の方とします)と比較して、ということになりますが、兼業主婦の方たちは本当に「専業主婦は自分たちよりも優遇されている」と思っているのでしょうか?

そんなこと気にしていない方がほとんどなんじゃないでしょうか。
なぜなら、

・待機児童問題、介護などで、働きたくても働けない場合があることをよく知っているし
・夫の転勤などで自分もいつ仕事を辞めて専業主婦にならざるを得なくなるかわからないし
・年間38万円も大事だけど、キャリアを継続することがもっと大事(辞めたり仕事をセーブしたら二度と戻れないかも)

のように考えているのではないでしょうか。
中には「専業主婦は優遇されている」と感じている方もいるでしょうけれど、それが多数派とはとても思えません。
兼業主婦は、兼業主婦という立場がまだまだ危ういものである社会だとよく知っています。それなのに「専業主婦VS兼業主婦」のような、どっちが得とか損をしているとか、そういうものの考え方をする人がそれほどいるものでしょうか。

一方が「優遇」されている、まるで「優遇されていない方は損をしている」「不公平」といった論調が目立ちますが、いったいなんのためにそういうあおり方をしているのでしょうか。


「女性の働く意欲を削いでいる」について

年収103万円以下に就業調整する方が、本当に控除廃止を理由にフルタイム勤務するのでしょうか?年収103万円以下で働いている方は、ちょうどそのくらいで働きたい、そのくらいの時間を労働にあてるのが都合がいい、という方が多いのではないでしょうか。
そうではなく本当はもっと働きたい方の場合は、必要なのは控除の廃止ではなく、保育園や、介護サービスや、そういった支援ではないのでしょうか。


なぜざらつかせる言葉を使うのか

専業主婦の方も、兼業主婦の方も、自分の選択に自信を持てず悩みながら生きている方が多いです。自分の選択とはいえ、選ばざるを得なかった側面もあり、なかなか自己肯定ができず、できないことに目がいきがちだったり。専業主婦と兼業主婦とがお互いに劣等感を抱いたりするのもよくあることです。
そこになぜ「優遇」「不公平」という言葉で控除見直しを語るのでしょう。みんなぎりぎりでがんばっているところに、こころがざらつく言葉を使うのか。

もし、専業主婦は優遇されすぎている、不公平だ、という考えによって専業主婦の肩身を狭くすることで、専業主婦が働きに出るのを後押ししようだなんて、そんな考えがどこかにあるのだとしたら、あまりにもあさましいと思います。


控除見直しに対する個人的な意見

わたし個人は配偶者控除廃止に反対ではありません。
ただし、浮いた財源は子供へ投資してほしいと考えています。配偶者控除の代わりに夫婦であれば妻の収入にかかわらず控除する「夫婦控除」を導入するという案が有力だそうですが、そうではなく、子供の数に応じた控除がよいと思っています。


働く時間や、就業形態や、男女や、そういうことに関係なく、お互いを尊重してよりよい社会をめざしたいのに、あまりよけいな言葉を盛り込まないでほしいと感じてなりません。


シンプルに、現代にあった控除について考えましょうと、そういう議論をしたいなと思います。