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ワーキングマザーは夢をみる

働きたい、育てたい、すきなことをしつづけたい。

初めて「まま、おしごと いかないで」と言われた日

育児

2歳の娘のイヤイヤが本格的になってきました。
これまでも、保育園から帰りたくない、チャイルドシートに座りたくない、歯磨きしたくない、などピンポイントでのイヤイヤは毎日のことでしたが、朝から晩までイヤイヤだらけな日が増えてきました。

普段は感情的にならないよう努力していますが、この前の木曜の夜はどうしてもイライラを抑えきれず、ひさしぶりに大きな声で怒ってしまいました。

きっかけは、娘が歯磨きを嫌がり、何をしても口を開けず、つばをぶぶーっと吹きかけて抵抗し続けたことです。普段なら怒鳴るまではしませんが、この日は朝からたくさんのイヤイヤでイライラが蓄積していて、1週間の疲れとあいまって、怒りが限界に達してしまったのです。いつも怒らないことをタイミング次第で怒るというのはよくないだろうなと、後悔しました。

でも、歯磨きが終わると今度は「ねんねやだー!」の大さわぎで、また怒りが再燃してしまいました。
わたしだけでなく夫も限界になってしまい、もう何がイヤなのか、何に怒っているのか、誰にも何もわからないような、ひどい状況で木曜の夜が終わりました。


そして次の日、金曜の朝。
またも娘はイヤイヤ全開で、ごはん食べない、やっぱり食べる、食べない、の繰り返し。歯磨きも断固拒否。着替えもイヤ、おむつを替えるのもイヤ。
そんな日に限って、いつも保育園への送りを担当している夫は早朝出勤ということで、代わりにわたしが車で送っていきました。

娘はわたしが保育園に送るときは、公園に遊びに行くものと勘違いします。保育園に行くんだよ、と説明しても、「こーえん!」と嬉しそうにします。そのせいもあって、保育園に着くとものすごく嫌がり、わたしにしがみついている娘を先生に無理やりひきはがしてもらって、わたしは逃げるように仕事に行かなくてはなりません。夫が送るときは多少泣くことはあってもそこまでひどくないそうです。

前日の晩から続くイヤイヤと、また保育園での引き渡しで泣かれるのかと思うと、運転中はとても憂鬱でした。

保育園の駐車場で娘に「着いたよー」と声をかけると、娘は「ほいくえん やだ」と言いました。これは4月頃から言うようになったセリフです。進級して担任の先生が一部変わってしまったのがさみしいんじゃないかと、わたしと夫は思っています。
何度も聞いているためあまり気に留めなかったわたしは、「そうだね、でも、ママはお仕事行かないといけないからね。はなちゃん(娘)も保育園行かないとね」と返しましたが、娘を車から降ろそうとしたとき、娘がこれまで言ったことのないセリフを言いました。

「まま、おしごと いかないで」

 

…あっ、ついに言われた。

いつか必ず言われるだろうと覚悟していたセリフでしたが、イライラが完全に収まっていない状態で、完全に予想外でした。
動揺しながら、何か言わなきゃと思ったわたしが言ったことは、

「うん、でも、ママお仕事しないとごはん食べられないからね」

でした。

嘘です。
嘘をつこうと思ったわけではありませんが、わたしが仕事をしなかったからと言って食うに困るわけではありません。わたしは、わたしが仕事をしたいからしているのです。夢見ていた仕事をできるようになり、今も夢を見続け、追いかけているだけです。なのになぜかとっさに出た言葉は「ごはん食べられないからね」でした。

その後、娘はいつもわたしが送るときのようにギャン泣きすることはありませんでした。
先生に「今日は泣いてないね!えらいね」と褒められ、仕事に向かうわたしにバイバイもしてくれましたが、口をへの字に結んで、眉根を寄せて、膨らませた頬を少し震わせて、まばたきもせずにじっとこちらを見続けていました。
初めて見る表情でした。


職場に着き、仕事をし、同僚とランチをして、気持ちが落ち着いてきました。
前の晩は夫婦ふたりともイライラしてしまったのがよくなかった。今朝もひとりだったから抑えが効かなかったのはさらによくなかった。

朝から晩までイヤイヤばっかりで耐えられない!と思っていたけれど、冷静に考えれば、本当にすべてイヤイヤしているわけではないんです。

朝起きれば「まま、おはよー」と笑顔で挨拶してくれる。
ちょっと咳をすれば「だいじょーぶー?」と心配してくれる。
そういえばこの前なんてわたしが冗談で「荷物が重くて階段を登れないよー」と言ったら、「あっそうだ!」と言いながら駆け寄ってきて、荷物をひとつ持ってくれたこともあったっけ。

小さなエピソードはあふれんばかりのイヤイヤに埋もれていって、特にイヤイヤの最中はそのことだけで頭がいっぱいになってしまって、この子はどうしてこうなんだろう!と、子供の評価のすべてになってしまいます。
それだけその時々を真剣に向き合っているからでもあるのだけれど、たくさんのイヤイヤがあるからといって、やさしさや喜びをなかったことにしてはいけないよね…。

イヤイヤのほうが圧倒的に多いとやっぱりつらいけれど、イヤイヤも成長の証と頭では理解していても本当につらいけれど、それでも、小さなやさしさを命綱のように大切にして、ちょっとずつ進んでいくしかないのかもしれません。

そして心がザラザラしてどうにもならないときは距離をとることも必要で、その意味でもわたしには仕事が必要だと、改めてわかりました。


その夜、わたしが保育園にお迎えに行くと、娘はいつもどおり「ままー!」と駆け寄ってぎゅっとしてくれました。
遅い時間のお迎えだったこともあり、その後もいつもに比べればスムーズで、持参したばいきんまんのぬいぐるみの力も借りつつ、なんとかギャン泣きせずにチャイルドシートに座って帰ることができました。
夫の帰りも早く、3人一緒に夕食を食べているとき、娘はとても機嫌がよさそうでした。

 

次に「まま、おしごと いかないで」と言われたら、なんて返したらいいでしょうか。
嘘をついてしまったと思うようなことはもう言いたくありません。
今のわたしなら、娘をぎゅっと抱きしめながら、「お仕事は、ママがママでいるために必要なんだよ。お仕事が終わったら、またぎゅってしようね」というところでしょうか。

ワーキングマザーという道を選んだ以上、ずっと考え続けなくてはいけないような気がしています。