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ワーキングマザーは夢をみる

働きたい、育てたい、すきなことをしつづけたい。

「子供2人以上出産が最も大切」少子化は女性の選択の問題ですか?

社会

大阪の中学の校長先生が「女性にとって最も大切なことは、こどもを二人以上生むことです。」と発言したという件。

www.huffingtonpost.jp


話題になり始めたころ、わたしはこの発言に驚きはしたものの、「出産が大切なことであるのはまちがいない」と、どちらかというと好意的に受け取っていました。

でも、この件に関するいくつかのブログを読み、考えをめぐらせていくうちに、わたしの捉え方は読み違いであり、この校長先生の話には根本的なところで納得がいかないということに気づきました。

まず、上記のサイトより、発言冒頭部分を引用します。 

今から日本の将来にとって、とても大事な話をします。特に女子の人は、まず顔を上げて良く聴いてください。女性にとって最も大切なことは、こどもを二人以上生むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります。

なぜなら、こどもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです。しかも、女性しか、こどもを産むことができません。男性には不可能なことです。

話の主旨はこの冒頭部分ですべて述べられています。

 

出産とキャリアの価値を短期的に比較する話と読み違えた

わたしがはじめ好意的に受け止めたのは、「これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります。」という部分から、この発言全体が「出産」と「キャリア」を「ある一定の期間においてどちらが大事かと比較する」話であると読み違えたからです。

わたしは出産(育児)とキャリアの両立をめざしていますし、どちらもかけがえのないものだと思っていますが、「どちらが大事か」を「ある一定の期間において」比較しろと言われたら、迷わず「出産」と答えます。
もちろん、出産には事実上の年齢制限があるからです。どんなに産みたくても、どんなにがんばっても、一定の年齢を超えると出産は不可能です。
対して仕事は、基本的には出産ほどの厳しいリミットはありません。職業にもよりますが、多くの場合は、出産のように「時期を逃すと、可能性がまったくのゼロ」にまではなりません。

さらに出産は、適齢期でさえあれば必ず妊娠できるというものでもありません。
ここがわたしが読み違いというか、記事を自分が普段考えていることに引き寄せて読んでしまった理由です。

わたしは初期段階の不妊治療を経て子供を授かりました。赤ちゃんがほしくてほしくて、でもできなくて、原因は夫でなく自分の側にあることもわかっていて、治療でホルモンバランスが変わり体調も崩し、心身ともにつらい時期がありました。

その経験もあって、本当に子供を望むなら、仕事をセーブしたりあきらめてでもコミットしなくてはいけないことがあると知っています。そこまでしても望みがかなわない人が大勢いることも知っています。
そういう意味で、少なくとも「ある一定の期間では」「仕事より出産のほうが大切」と考えています。あわせて、出産にコミットしている間の仕事のブランクを取り戻せるかどうかは自分次第だという覚悟もしています。

このような背景から、出産とキャリアの価値を短期的に比較する話と読み違え、好意的に受け止めました。
若い人が早くから出産の大切さを意識することで、いざ妊娠したいと思ってもできず、不妊治療をする準備も時間もなく、あきらめざるを得なくなってしまうということが減ってほしいからです。

 

よく読んだらそんな話じゃなかった

わたしが勝手にバイアスをかけて読んでいただけです。
校長先生のメッセージは、最初の段落ではっきり示されていました。

女性にとって最も大切なことは、こどもを二人以上生むことです。

これは、「女性はこう生きるべし」という話でした。
そしてその根拠は、

なぜなら、こどもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです。しかも、女性しか、こどもを産むことができません。男性には不可能なことです。

日本という国を存続させるために必要だから。
国を存続させるために女性はこのように生きてくださいね、という話です。

この校長先生のお話は、とてもわかりやすく、優しい語り口です。生徒たちのこと、わたしたちの国のことを考えて、言葉を選んで語られたことが伝わります。
本当によかれと思ってこの話をされたのでしょう。「間違ったことは言っていない」との認識を市教委に示したと、引用元の記事にもあります。

それだけに本当に残念なのですが、どうしても納得がいかない。
なぜ、女性の、わたしたちの生き方を、あなたが決めるのですか。

「出産は男性に不可能だから」女性が出産しなければ日本の国がなくなってしまうという言い方は、一見正論のようですが、女性からすると暴力的です。
日本の存続は女性の選択の問題ですか?ちがいます。日本に生きるすべての人の選択の問題です。


発言の後半で「男子の人も特に良く聴いてください。子育ては、必ず夫婦で助け合いながらするものです。女性だけの仕事ではありません。」とも述べられていますが、そういう話ではないのです。
女子には国の存続に対する責任の話、男子には子育ては助け合うものという話、これはあまりにもアンバランスです。

校長先生にはそんな意図はまったくないのだろうと思われるところが、また、憂鬱です。根が深いのです。

 

女性と男性の区別なく、一緒に少子化の問題を考えましょう

「女性が出産しないと子供が減る」というのは確かですが、少子化の問題を解決する方法は、「女性が出産すること」ではなく「女性が出産できる社会をつくること」ですよね。そうでなければ女性が出産を選択する自由をしばることになります。出産できる社会をつくることで、結果的に出産する女性が増えます。
その社会をつくるのに、女性も男性も関係ありませんから、一緒に考え行動できたらいいのです。

国を思う気持ちを、子供を思う気持ちを、ぜひそういう視点で語っていきたいと願います。

 


わたしは「国がなくなってしまうから子供を産むことが大切です」と言われたからといって産みたいとは思わないし、娘にもそのような伝え方をしようとは思いません。
娘と出会えた喜びを伝え、自分たちが暮らす国の問題を親子一緒に考えるだけで、十分なのではないでしょうか。 

あとは娘自身が決めることです。